【浜松商工会議所が認定する「やらまいかブランド」商品とは?】
浜松地域の特産品や様々な素材、歴史、文化、技術などの地域資源を活用した商品から、やらまいか精神溢れさらなる成長が期待できる製品を、浜松商工会議所が地域ブランドとして認定している商品です。
今回は「やらまいかブランド」商品から、魚料理専門 魚魚一(とといち)の「浜名湖うなぎの刺身」をご紹介します!
「うなぎの刺身なんて」聞いたことがない!「本当に美味しいの?」と思った方、先にネタばらしをしましょう。フグのような「弾力のある歯応え」と「口の中で溶ける甘味のある脂」が乗った至極の美味しさがうなぎの刺身です。魚魚一(とといち)でしか食べられない本物の味をぜひご賞味いただければと思います。
というわけで今回は、魚魚一(とといち)の代表 仲村さんに開発秘話をお聞きしました!
浜名湖うなぎの刺身 – 魚料理専門 魚魚一(とといち)
「うなぎの刺身」は、うなぎで有名な浜松の新名物として魚魚一(とといち)さんが全国で初めて商品化し、ふじのくに新商品セレクション《金賞》を受賞。さらに、やらまいか精神で開発した「うなぎの刺身」は、特許庁にも認められた登録商標となっています。
今までありそうでなかった新しい食の提案である「うなぎの刺身」は、現在でも取り扱っているお店は全国的にも珍しく魚魚一(とといち)さんの専売特許に近い状態です。
うなぎの血には毒があることは有名ですが「うなぎの刺身」を提供するには、まずうなぎをさばけること、そして職人さんによる確かな血抜きの技術とノウハウが必要で、さらに薄造りにするため単純に職人さんの技術と手間ひまがかかります。もちろんこれらを行うための公衆衛生上問題ない環境も必要です。
そのため、「うなぎの刺身」を取り扱うだけでも高いハードルがあるそうです。「うなぎの刺身」の美味しさは魚魚一(とといち)さんのウェブサイトでもたくさん語られているので味の話はおまかせして、今回は誕生のきっかけとうなぎの血の毒について掘り下げてみようと思います。
うなぎの刺身のきっかけは「コース料理のお刺身」
『あるとき、全てうなぎ料理でコースを作ろうとした時に、どうしてもできなかったメニューが生のお刺身でした』
前菜からデザートを除く最後の食事まで、すべてうなぎ料理で作ろうとしたときに唯一できなかったのが「お刺身」だったそうです。どんなうなぎ料理屋さんでも、『お刺身だけは「マグロ、タコ、イカ」。伝統的にそういうものなんだから。当然でしょ?』といったように、特に疑問もなく改善の対象になってきませんでした。今までは。
しかし、魚はなんでも生で食べられるというのが魚魚一さんのポリシー。うなぎ料理のお刺身の疑問に気づいてしまい、早速調査を開始します。『当時は25年も板前をやってきたのに、固定概念で今まで疑問にも思わなかった。盲点だった。』と仲村さんは振り返っていました。
「うなぎの血には毒がある」ことをきちんと調べる
「うなぎの血には毒がある。」というのは古くから周知の事実でした。そこで、厚労省のウェブページで詳しく調べてみると、うなぎの血の毒は局所的な炎症を引き起こすが、よっぽど大量に血を摂取しない限りは致死量には達しないと報告されています。
具体的な量は、マウスでの実験を人間に当てはめて仮定すると60kgの人であればおよそ1,000mlで致死量に達する[*1]と見積もられています。1,000mlはおよそ牛乳パック1本分の1L相当、結構な量であることがわかります。(※厚労省発表より)
そして、うなぎの毒は60度、5分の加熱で完全に毒性を失うことが報告されています。[*1]
うなぎに血がついていても従来どおり蒲焼きにすれば大丈夫な理由は加熱で無毒化されるからなんですね。参考事項として以下のように書かれており、うなぎ調理人の古くからの経験によって「うなぎは生で食べるものではない」という事が当たり前になっていったのではないかと考えられます。
血液が目や口、傷口に入ると局所的な炎症が引き起こされる。目に入ると激しい灼熱感を覚えるとともに、結膜炎、流涙、まぶたの腫れが引き起こされる。目に異物が入った感じは数日残る。口に入ると灼熱感や粘膜の発赤、流涎が、傷口に入ると炎症、化膿、浮腫などが引き起こされる。こうした症例はウナギ調理人の間では有名で、ウナギ血清毒は食品衛生よりむしろ公衆衛生の点で問題。
自然毒のリスクプロファイル:魚類:血清毒|厚生労働省 より [*1]
こうして、うなぎの毒についての知識から適切に血抜きを行うことでうなぎの生食は不可能ではないことを確認し、「うなぎの刺身」の商品化にこぎつけました。
ふぐに近い身の質をヒントに真空パック冷凍保存で通販を開始
うなぎの刺身がお店でも人気商品になってしばらくすると、出張のお客さんが家まで持って帰りたいという要望が増えたそうです。しかし、浜松から東京まで移動するにしても新幹線で2時間弱はかかるので”生モノ”をそんな長時間持ち歩かせるわけには行きません。
「大将、今は下関でも”ふぐ”を真空パックにして冷凍で送る時代だぜ? うなぎもいけるんじゃないか?」
というお客様のお話を聞いて、早速試作に取り掛かったそうです。うなぎは分類上は白身魚ですが、身の繊維質が硬く脂がのっているので解凍しても水(ドリップ)が出にくいので解凍しても身の細胞が壊れにくい特性があり、ふぐのように冷凍保存が可能だそうです。
こうして、魚魚一(とといち)さんの看板メニューとなる「うなぎの刺身」は全国どこでも届けられるようになり、現在では通販メニューの主力商品として大活躍とのことです。
魚料理専門 魚魚一(とといち)はどんなお店?
「新鮮で美味しい魚料理を、多くの皆様に召し上がっていただきたい」という信念のもと、2001年に浜松市内に地域一番店を目指して、魚料理専門『魚魚一(とといち)』と名付け開業したのが始まりなんだそうです。
その後、「うなぎの刺身」が食べられることで全国でも珍しい魚料理専門店となりました。ビジネスの接待での利用や、浜松出張や旅行で訪れたいお店となり、本当においしい魚料理といえば魚魚一さんと、地元からも指名で利用される有名店です。
通販やテイクアウトメニューも充実しており、通販メニューは「うなぎの蒲焼・白焼」「うなぎの刺身」の他にも、浜名湖産の名物「どうまん蟹」も扱っています。テイクアウト・配達メニューでは「お祝い膳」をはじめとして、会議用の「お弁当」や「うなぎの刺身」もお持ち帰りができます。
浜名湖うなぎの刺身(魚料理専門 魚魚一(とといち))のお問い合わせ先
事業所名・団体名 | 魚料理専門 魚魚一(とといち) |
電話番号 | 053-458-6343 |
所在地 | 〒430-0932 浜松市中区肴町318-28 ペッシェビル3階 |
URL | http://www.totoichi.com/ |
関連記事
2015年に浜松つーしんでも魚魚一(とといち)さんの「うなぎの刺身」について記事を書いています。ちょうど首都圏の出張のお客さんを中心に流行り始めた頃ですね!
「うなぎの血の毒」に関する参考文献
- [*1] 自然毒のリスクプロファイル:魚類:血清毒|厚生労働省 [公のウェブサイト情報]
- [*2] 新・海洋動物の毒−フグからイソギンチャクまで− | 塩見 一雄, 長島 裕二 [本]
- [*3] 海洋動物の毒 – 日本救急医学会雑誌/10 巻 (1999年) 1 号 | 塩見 一雄 [論文]
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